法令・制度解説

定期健康診断の2027年改正:事業者が確認する切替手順

依
依田尚人

著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表

10分
目次

定期健康診断の2027年改正は、現行の運用と2027年4月1日以後の運用を分け、依頼条件、社内案内、記録の順に更新すると整理しやすくなります。時点を分けた切替手順を先に置くことで、施行前の内容を現在の必須項目として案内する混乱を避けられます。

「今の依頼書をどこまで直せばよいのか」「案内文の更新はいつ確認するのか」と迷う担当者もいるでしょう。改正内容そのものと、社内の切替作業を同じ確認欄に置かないことが出発点です。

本記事では、現行の定期健康診断、2027年4月1日からの変更、法人内での切替順を整理します。法令上の項目や施行日は、2026年9月8日に確認された範囲だけを取り上げます。

本記事で分かること

  • 現行の定期健康診断で確認する項目の位置づけ
  • 2027年4月1日から変わる項目と号数
  • 依頼条件、案内、記録を切り替える順番

結論:改正の対象を時点で分けて確認する(早見表)

定期健康診断の改正の切替とは、現行の法定項目を確認したうえで施行後の依頼条件と社内運用を別の時点として更新する手順です。

まずは現行の項目と省略基準を、現在の依頼条件に照らして確認します。項目の基本を確認したい場合は、定期健康診断の法定項目と省略基準もあわせて参照すると、切替対象を整理しやすくなります。

現行で確認する項目確認する内容残す記録
法定項目の数2026年9月8日時点で施行中の安衛則44条1項は11項目確認した法令の時点
依頼条件現在の健診類型と項目の記載依頼書の確認日
社内案内現行の項目を前提にした案内文案内の版
記録様式実施後に残す項目名と確認欄更新担当と更新日
定期健康診断の2027年改正:問診票で現行の定期健康診断項目を確認する図
定期健康診断の2027年改正:問診票で現行の定期健康診断項目を確認する図

現行の確認範囲

現行の定期健康診断は、労働安全衛生規則44条1項に基づく11項目を起点に確認します。依頼書や社内用の確認表では、項目名だけを写すのではなく、どの時点の規則に基づく内容かを見出しに残すと、翌年度の見直しで参照しやすくなります。省略の可否は年齢だけで機械的に決まるものではなく、同条2項に基づく基準と医師の判断が関係するため、社内側で独自に対象を決める欄にはしません。

改正の公布日と施行日

今回の改正は、労働安全衛生規則の一部を改正する省令である令和8年厚生労働省令第112号として2026年6月30日に公布され、2027年4月1日に施行されます。附則に経過措置は置かれていないため、施行日をまたぐ依頼や案内では、実施日がどちらの時点に当たるかを先に確認します。公布日を見ただけで依頼条件を更新せず、施行日を基準に担当者間の確認日をそろえることが大切です。

現行と施行後を分けて確認する理由

施行前の内容と施行後の内容を同じ欄で扱うと、現在の必須項目と将来の項目が読み分けにくくなります。現行用の依頼条件、施行後用の依頼条件、更新予定の案内文を別の記録として置けば、担当交代時にも確認の根拠がたどれます。改正の内容を周知する際も、現在の受診案内と改正後の準備情報を同じ文面に混ぜず、対象となる実施日を明示して伝えます。

定期健康診断の2027年改正:健康診断個人票で確認時点を分ける図
定期健康診断の2027年改正:健康診断個人票で確認時点を分ける図

2027年4月1日から変わる点

2027年4月1日以後は、定期健康診断の項目数が12項目になる変更を前提に、施行後の依頼条件を確認します。改正後の内容は、現行の一覧とは別の表で管理し、施行後の実施分だけに適用します。

施行後に確認する項目改正後の内容依頼条件での確認
項目数安衛則44条1項の項目は12項目実施日が2027年4月1日以後か
喀痰検査44条1項4号から外れる旧号数を残していないか
血清クレアチニン検査新たに10号として置かれる項目名と号数を施行後用にする
号数の整理後続の号数が繰り下がる案内・記録の参照先を更新する
定期健康診断の2027年改正:採血管と血清クレアチニン検査の施行後項目を示す図
定期健康診断の2027年改正:採血管と血清クレアチニン検査の施行後項目を示す図

施行後の項目数

施行後の安衛則44条1項では、項目数が12項目になります。改正内容として、喀痰検査が同項4号から外れ、血清クレアチニン検査が10号として加わります。ここでいう12項目は2027年4月1日以後の内容であり、施行日前の健診について新しい検査を現在の必須項目として案内することはできません。

号数の整理

項目の追加と削除に伴い、後続する号数も整理されます。依頼書、社内案内、健康診断個人票の確認欄に号数を記載している場合は、項目名だけでなく参照している号数も施行後の内容に合わせて見直します。項目名の一部だけを更新すると、古い号数と新しい項目名が並ぶため、更新前後の版を区別して保管します。

雇入時健康診断への影響

雇入時健康診断についても、施行後の安衛則43条では血清クレアチニン検査が10号として整理され、肝機能検査の表記はAST、ALT、γ-GTになります。定期健康診断の切替作業と雇入時健康診断の案内を同時に扱う場合は、雇入時健康診断の基本を確認し、対象となる健診類型ごとに更新箇所を分けます。雇入時健診には定期健診の省略基準と同じ規定が置かれていない点も、社内の確認表で分けておくとよいでしょう。

定期健康診断の2027年改正:身長計と体重計で健診類型ごとの案内を分ける図
定期健康診断の2027年改正:身長計と体重計で健診類型ごとの案内を分ける図

法人担当者の切替手順

法人担当者は、依頼条件、社内案内、実施後の記録をこの順で照合することで、同じ時点の情報を関係者へ渡しやすくなります。更新の主体は社内の事務手順であり、検査内容の医学的な判断とは区別して記録を整えます。

依頼条件を確認する

最初に、実施日、健診類型、依頼先へ渡す項目名、確認担当を一覧にします。施行日前に実施する分は現行の項目で、施行日以後に実施する分は施行後の項目で確認するため、一つの依頼書に両方の時点を併記する必要はありません。候補日が施行日をまたぐときは、日程ごとに使う確認表を分け、変更の根拠を記録します。

社内案内を確認する

社内案内では、対象となる実施日と、当日に確認してほしい事項を先に確定させます。改正後の内容を知らせる案内は、施行後の実施分であることが分かる見出しにし、現在の案内文を上書きする前に担当者間で内容を照合します。会場、集合方法、窓口など法定項目以外の情報も、案内の版と一緒に管理すると差し替え漏れを防げます。

実施後の記録を確認する

実施後は、どの時点の依頼条件を使ったか、案内をいつ更新したか、確認を誰が行ったかを残します。記録は将来の再確認に使うため、項目名の変更だけでなく、施行日を基準にした版の区別が重要です。健診結果の内容をこの切替表へ転記せず、事務上の確認履歴と個人の結果に関する記録を別に扱います。

切替表には、実施日、使用した確認表の版、確認担当、更新日を対応づけて残します。これにより、同じ年度内に施行日前後の実施分がある場合も、どの項目名を案内に使ったかを確認できます。一般的な法人健診の準備に必要な日程・会場・担当の整理は、法人健診の基本を参照し、法令上の項目確認とは別の条件表として管理します。

改正情報を社内に共有するときは、現行の実施分と施行後の実施分を見出しで分け、対象日を明記します。案内の更新日だけを残すのではなく、確認した規則の時点と、配布した案内の対象日を対応させると、後から照合する際の入口が明確になります。

定期健康診断の2027年改正:受付カウンターで依頼条件と案内の切替順を確認する図
定期健康診断の2027年改正:受付カウンターで依頼条件と案内の切替順を確認する図

2027年改正の切替の確認では、法令上の手続と社内の事務記録を対応づけます。現行の実施分と施行後の実施分を確認する担当、確認日、連絡先を別の欄に置くと、業務の段階を一つの完了印にまとめずに確認できます。個別の健診内容を全社の進捗表へ集めず、事務上の確認状態を整理します。

拠点が複数ある場合は、全社側が見る確認段階と、拠点側が確認する連絡先を分けます。全社表には未確認の段階と確認先を残し、拠点の表には実施日や連絡窓口などの条件を置きます。どの資料を参照したかを短く記すと、担当者が変わっても確認経路をたどれます。

切替表は、確認した事実、確認日、担当、次に連絡する先を中心に残します。医学的な結論を事務担当者が作るのではなく、必要な意見や記録を確認するための経路を整えることが法人側の役割です。確認中の行には、確認先と次に確認する時点を併記します。

実施前の条件表と実施後の確認表は、用途を分けて管理します。日程や会場などの手配条件を確認した記録と、現行の実施分と施行後の実施分に関する確認を同じ備考欄へ続けず、資料の役割を分けます。変更があった場合は、更新日と連絡元を残し、次回に見直す項目を明らかにします。

確認を終えるときは、担当・確認日・連絡先が各段階でそろっているかを見ます。これにより、必要な確認がどこまで進んだかを把握し、次の担当者へ事務上の確認経路を引き継げます。

切替手順の確認を終える際は、条件表、連絡記録、社内案内の表記を順に照合します。項目名や拠点名が資料ごとに異なる場合は、どの行を更新するかを確認し、確認日と確認先を記録します。確定した条件だけを残すのではなく、次回に見直す会場、日程、担当、連絡窓口も示すことで、手配の流れを継続して確認できます。

切替手順では、確認した内容を資料ごとに分散させず、条件表の該当行へ確認日と確認先を残します。日程、会場、担当、連絡窓口のうち変更があった項目は、更新する案内や記録を対応づけます。確認が終わった後にも次回に見直す項目を記し、担当者が変わった場合に確認の順番を引き継げる状態にします。

まとめ

定期健康診断の2027年改正では、現行の11項目と施行後の12項目を別の時点として管理し、依頼条件、社内案内、実施後の記録を順に更新します。項目の省略基準や現行の確認方法は、定期健康診断の法定項目と省略基準で整理できます。

切替の確認では、実施日を起点に現行か施行後かを選び、使った確認表の版と更新日を残します。雇入時健康診断を含む健診類型の確認は、雇入時健康診断の基本と対応させ、定期健康診断の切替表と混同しないようにします。

よくある質問

Q. 現在の定期健康診断は何項目ですか
2026年9月8日時点で施行中の労働安全衛生規則44条1項では、定期健康診断は11項目です。省略の可否は年齢だけで決まるものではなく、同条2項に基づく基準と医師の判断が関係します。現在の依頼条件を確認するときは、施行後の項目数ではなく、実施日に適用される時点の規則を参照します。
Q. 2027年4月1日から何が変わりますか
2027年4月1日以後の安衛則44条1項では、項目数が12項目となり、喀痰検査が4号から外れ、血清クレアチニン検査が10号として加わります。後続の号数も整理されるため、項目名と号数を併せて確認します。この内容は、労働安全衛生規則を2026年9月8日に確認した範囲です。
Q. 施行前に新しい検査を現在の必須項目として案内できますか
できません。今回の改正の施行日は2027年4月1日であるため、施行前の実施分は現行の規則に基づいて確認します。改正後の案内を事前に作成する場合も、対象となる実施日を分けて記載し、現在の必須項目として受診者へ伝わらないようにします。

出典

本記事の出典は に内容を確認しています。

  1. 1.
    労働安全衛生規則(laws.e-gov.go.jp)